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大阪乾癬患者友の会 (平成12年度第1回定例総会が2000/6/10開催)テーマ「関節症性乾癬」の臨床について兵庫医科大学篠山病院院長 立石博臣先生講演内容についての要約記事
関節症性乾癬とは
乾癬という疾患の中では、おおむねが「尋常性乾癬」であり、字のごとく普通の乾癬という意味ではあるが、乾癬の中には、関節痛をともなう症状があります。これを関節症性乾癬、または乾癬性関節炎で分類されています。
また、医学的には「乾癬」「リウマチ」などと病状によって、病名が分けられていますが、この「関節症性乾癬」は「乾癬」とは少し距離をおいた位置づけをされていることもあるようです。
尋常性乾癬のような皮膚に症状が出ることより、関節に症状が出ることの方が患者から見ると痛みや関節などの変形による病状は深刻になります。
定義
臨床的に、乾癬症(皮膚、爪)が明らかであり、疼痛と軟組織の腫帳を伴うか、少なくとも1関節以上の運動制限を認める。
要するに、乾癬という病気であり、関節炎(膜がはれる)、関節症(軟骨などがいたんで腫れる)などで、痛く動かせなかったりする症状が出るということですね。
発症
発症する年齢が多いのは 25−30歳
状況は 緩慢2/3 急激1/3
皮疹先行(尋常性乾癬などの発疹が先にあって、後に関節炎などが出るという場合)は 75−80%
関節炎先行する場合は 10−15%
皮疹・関節炎が同時に出る場合 10−15%
紅皮症型の乾癬など全身に広範囲に出る乾癬が関節などに影響を与える場合が多いといわれている。特にひざに出てくる場合が多い。
性別・傾向
関節症性乾癬の発症について、おおよそ、男性 1 : 女性 1.04 ともに割合は同じくらいの割合。
発症割合が違ってくるケースは
脊椎に痛みがでる症状が出る場合 男性 2.3 : 女性 1
リウマチRA類似型(変形などの症状) 男性 1 : 女性 2.1
遺伝
遺伝はしない。家族の発生ですが、親戚など身内に乾癬性関節炎がある人は、無い人に比
較して発症率が高い傾向。乾癬性関節炎の出現率の割合として、身内 に乾癬性関節症が無い人の発症率は0.1%で身内にある人は3〜5%の割合でかな
り高くなります。これは組織適合性抗原、いわゆる白血球の血液型といわれるも
のですが、HLA抗原が非常に関係しているようです。
リウマチ因子
リウマチ因子が陰性・陽性の人と比べた場合、陰性RA(−)の人の場合が大半を占める。陽性の場合は5%ほど。
HLA抗原(白血球の血液型)ヒト白血球抗原の略称
HLA B27 に関節症乾癬が長期的に出る場合が多い。
症状・骨の変形
爪の変形は80%ほど(尋常性乾癬では20%ほど)
特に、爪の場合には、爪が浮き上がってくる(オニコライス)場合が多いという特徴がある。
関節症炎のため軟骨がとけて薄くなったり、骨が変形する。
特にリウマチと違うところは、第一関節が腫れてくるという特徴が目立つ。
足の場合は外反母趾変形がでるというのも症状の1つ。乾癬によるものかは判断できない場合もありますが^^
ひざなどが腫れ、ひざが無くなってしまったように見える場合もある。
正常な状態 尖ってくる場合 鉛筆がカップに入るような場合(ペンシルインカップ現象)
30%ほど眼症状がある。結膜炎10−20%、ぶどう膜炎15%。
初期の症状
乾癬性関節炎の初期症状として手指が腫れることが多い。指が腫れる原因として種々のものがあります。腱鞘炎、初期の強皮症、リウマチ、変形性関節症など。手の指の一番先の関節には、変形性関節症がしばしば起こ
ります。これをヘベルデン結節と呼んでいます。同じ変化がゆびにのまん中(第二関節)におこるのをブシャー結節と呼びます。
脊椎の痛み
特い関節症性乾癬で脊椎に痛みを生じる場合が多くあります。(乾癬性脊椎炎と呼んでいる)
どの脊椎からも発生、特に腰痛などが多い。レントゲンの骨の変形の割には疼痛は少ない。
リウマチ因子陰性脊椎関節炎
関節症性乾癬は、リウマチ因子陰性脊椎関節炎の7つの疾患の1つ
リウマチ因子陰性脊椎関節炎、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、ライター症候群反応性関節炎
潰瘍性大腸炎、クローン氏病、ビップル氏病、ベーチェット氏
リウマチ因子陰性脊椎関節炎の共通点
血清反応陰性脊椎関節炎と分類もされている。
▼リウマチ因子陰性脊椎関節炎の共通項
リウマチ因子陰性 RA(−)、皮下結節なし、末梢、関節炎あり、脊椎炎あり、仙腸関節炎あり、皮疹あり、爪の変形あり、眼の病変あり、HLA抗原 B27、アキレス腱などの疼痛あり
◇検査異常
血沈亢進、CRP亢進、乾癬の表皮細胞の代謝亢進のため尿酸値上昇
リウマチとの症状の違い
DIP(第一関節) 関節症性乾癬(多) リウマチ(少)
PIP(次の関節) 関節症性乾癬(少) リウマチ(多)
PIP(次の関節) 関節症性乾癬(少) リウマチ(多)
股関節 関節症性乾癬(少) リウマチ(多)
ソーセージ 関節症性乾癬(多) リウマチ(少)
発症の原因
乾癬がなぜ発症するというメカニズムが完全に解明されていないことから一概に原因の答えはない。乾癬が発症するメカニズムとして、たびたび取り上げられているサイトカインの影響での免疫異常、脂質代謝の関係かなどや、関節に影響するとなれば、リウマチとよく似た血行的なものによる免疫異常から起こるのか・・・・という未解決な部分になります。
治療について
<局所療法> ゲッケルマン療法、アンスラレン療法、ステロイド、PUVA、温熱療法
<全身療法> 非ステロイド抗炎症剤、レチノイド、活性VD3、抗リウマチ剤、メソトレキセート、シクロスポリン
| 生物学的製剤では「レミケード」「ヒュミラ」による治療で効果を得られることが高いです。 |
関節痛がひどい時のケア
関節・骨というのは、寝たきり状態というのは、かえって悪い傾向があるそうです。
痛みとの関係で激しい痛みの場合を除き、ある程度、動かすという行為が必要。
関節が動くということは、筋肉が動き、血行も良くなる。そして、強くなる。
ただし、どこまでが適当な運動かが微妙。
運動後、2・3時間経過して痛みがとれるというところが限度であり、翌日まで痛い、体がだるいというのは、運動のやりすぎということです。
予後
大半は良好。関節への破壊は少ない。(骨関節破壊が進行する場合は15%ほど)
20歳以前に発症の女性の場合は、予後は悪い傾向がある。
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